Promettre son amour 5





 リビングに掛けられた、古めかしいアンティークの時計が鐘を鳴らす。
 パタパタと朝食を食べ終えた子どもたちが、周りを走り回っている。
 朝っぱらからソファでぐったりとしているアスランを不思議そうに眺めていくが、放っておいてくれるのがありがたかった。
 口を開けば、吐く物などないのに、吐きたくなる。
 ぼんやりとする視界に、ピンクの光がさす。

「調子はどうですか」

 ラクスがいた。

「あまりよくはないです」

 寝ているままでは失礼かと、アスランは身を起こす。

「ハーブティーを入れましたので、よろしければどうぞ」

「ありがとうございます」

 差し出されたティーカップを受け取る。
 口に含むと、何とも言えない香りが、心身ともに和らげていく。
 笑顔を湛えていることの多い彼女だが、今日はいっそう機嫌がよさそうだ。

「なにか、良いことでもありましたか」

 はい、とラクスが満足げに頷く。

「キラが料理を作ることの難しさを知ってくださいましたから」

 実に嬉しそうだ。
 アスランには乾いた笑みしか出てこない。
 ふと思う。
 彼女はあの料理をどうしたのだろうか。

「あの、ラクス」

「はい」

「あなたは、キラの料理を食べましたか?」

 ええ、とラクスはアスランの目を見ながら、はっきりと頷いた。

「一口だけですけれど。キラがわたくしのために作ってくださったのですから」

 唖然と彼女を見た。間抜けだと解っていても口があいてしまう。どうして、あの料理を食べても、ラクスは何ともないのだろう。
 訝しげなアスランにラクスは言った。



「愛の力ですわ」



 それは、何とも納得できそうでそうでない答えだった。









book / 2005.08.21
web / 2024.05.12